令和7年2月発行「令和5年度人材確保コンサルティング好事例集」より抜粋
技術系人材は育成に一定期間かかるため、事業拡大に向け、先行して人材を確保する必要があった。しかし、ハローワークだけでなく有料求人媒体を併用しても結果は伴わなかった。
コンサルティングを受ける前はどのような状況でしたか?
中村様技術系の仕事なので、会社として仕事を増やすには“まず人材ありき”なんですね。しかも未経験で採用した場合には1~2年様子を見ながら育てていく必要があり、時間もかかります。だからこそ、できる限り早く人材を確保してしっかり育てたいと考えていました。ところが募集をしても応募がない。コストをかけても結局効果はありませんでした。面接まで進んだ方が年間で2名、問い合わせを入れても数件程度です。そんな中このコンサルティングを知り、無料であること、採用に関して学ぶ機会がこれまでなかったことから、お願いすることにしました。
コンサルティングはどのようなことから始めましたか?
中村様まずは求人票の書き方について教わりました。「求職者に響く書き方、目に留まる書き方、そのことを一番に考えて書きましょう」と言われました。自分にはなかった視点で、新しかったですね。これまでは仕事内容しか書いていませんでしたが「こんなことも書いていいんだ」という驚きがありました。難しく考えすぎず、自社の良いところを何でもいいから書き出す。まずはそのようなワークからスタートしました。
どのような流れで求人票を作成していきましたか?
中村様「求職者は人それぞれ求めていることが違うので、何が響くかは分かりません。だからこそ片っ端から何でもキーワードを挙げてみましょう」と言われ、休憩室に冷蔵庫がある、ウォーターサーバーが各階にある、従業員は市内在住者が8割、食堂をリニューアルした、福利厚生でマッサージを月2~3回受けられる…、といった当社にとって当たり前のことから、独自のアピールポイントとなることまで20~30のキーワードを書き出しました。そして一つひとつについて求職者目線で有効かをコンサルタントと一緒に検討し、求人票に載せたんです。自分では当たり前と思っていたことが、実は求職者にとっては魅力、そんな事柄がいくつも出てきました。思い込みはいけないと考えを新たにしましたね。一方で、キーワードを文章にするのはなかなか難しく、表現の仕方についてはかなりフォローしてもらいました。うまいこと言うな、そんな言い方もあるのか、といった学びも数多くありました。仕事内容については「専門用語を入れてもいいのでもっと詳しく記載しましょう」というアドバイスを受けました。我々の加工している金属部品が何の製品の部品なのか、旋盤やマシニングセンタといった機械の種類についても明記し、それまで空白の多かった求人票がぎっしり埋まりましたね。
新しい求人票の反応はいかがでしたか?
中村様求人票の内容を変えて掲載したところ、いきなり5名の応募があったんです。正直今まで採用者を選べるという状況はなかったので、あんなに苦労していたのになぁ、というのが最初の感想でした。たまたまかもしれませんが、採りたいと思える人ばかりで最終的に20代と30代の製造業経験者それぞれ1名を採用しました。枠があればもう一人採用したかったですね。
採用したのはどのような方ですか?
中村様一人は当社がある市内に住み、近くで仕事を探していた方でした。従業員の8割が市内在住者というキーワードが、“近くで働きたい”という動機に届いたわけです。今までの私の考えにはなかった理由でした。もう一人は製造業を数社経験し旋盤をやりたかった方で、求人票の仕事内容に書いた専門用語に惹かれたそうです。今回採用した2名は若い製造業経験者という点では同じですが、応募動機が全く違っていたことに驚きました。コンサルタントから言われた「求職者は人それぞれ求めていることが違う」という言葉がよみがえりましたね。採用した2名は物覚えもセンスも良くすぐに戦力となりました。二人に活躍してもらうためにも、早く仕事を増やし事業を伸ばさないと…といったありがたい悩みになっています。
コンサルティングの感想を教えてください
中村様これまで、今の若い人たちは休みが多ければいいのではないか、給与や待遇をよくすればいいのではないかと単純に考えていましたが、実はそれぞれ違うということを理解しました。当社の魅力を表すキーワードを数多く出すことで振り向いてくれる求職者を増やす。今回のコンサルティングでベースはできたと思っています。今後増えていく当社の魅力もあるはずですし、得たノウハウはこれからの採用活動に役立つと考えています。