令和7年2月発行「令和5年度人材確保コンサルティング好事例集」より抜粋
コストをかけずに採用を行っていく中で、特に母集団形成に課題を感じていた。
コンサルティングを受ける前はどのような状況でしたか?
大沢様当社はもともと金融系企業を中心に業務ソフトの開発を行っていましたが、今はいろいろな業種へと取引先が広がっています。事業が拡大していく中で「他者に頼らずに自社で」という方針のもと、継続的な採用活動を行っていました。
山岸様中途採用ではハローワークや、検索エンジンの無料枠の活用、新卒採用ではインターンシップや、学校訪問を通した関係構築に力を注ぐなど、コストをかけずに多様な活動を行ってきましたが、新卒・中途ともに母集団形成に課題を感じていました。そんな状況の中、無料でアドバイスをもらえる場があればと東京都の支援事業を調べていたところ、このコンサルティング事業に辿り着きました。
コンサルティングはどのようなことから始めましたか?
山岸様最初は求人票の書き方から教わりました。それまでは必要最低限の情報のみで、簡単なことしか書けていなかったのが実状です。私には実務経験がないため、詳しい業務内容まで落とし込むことができていなかったんです。そこで「実際に働いている社員が感じている仕事のやりがいや魅力を集めたうえで、求人票に起こしていきましょう」とアドバイスをもらい、管理職向けと一般社員向けに分けた社内アンケートを実施することにしました。それまでは社員の声を聞くことなく求人票を作成していたので、生の声を入れることでぐっとリアル感が増して求職者へ伝わりやすくなるのではと、期待はふくらみましたね。
どのような流れで求人票を作成していきましたか?
山岸様アンケートで集めた多くの声から、どんな魅力を求人票に掲載するかを選んでいきました。求職者目線を意識するようアドバイスをもらい、軸となる3つの魅力を決定。1つ目は社内評価の正当性です。特に中途入社の方から多く挙がっていました。2つ目は多岐にわたる業界・業種のシステムに携われるという、業務領域の広さに関することです。世の中の様々なシーンで私たちのシステムが活用され、社会貢献にも繋がっているという声もありました。3つ目は教育制度です。1983年の設立以来人材育成には力を入れており、独自で教育部を設けエンジニアを育てています。これらの魅力を求人票に盛り込んでいきました。
新しい求人票の反応はいかがでしたか?
山岸様実は、求人票の出し方も変えたんです。ひとつだけだった求人票を部署ごとに分け、各現場それぞれの魅力が具体的に伝わるよう工夫しました。その結果、応募数は大幅に増加。求人票から仕事をイメージしてくれる応募者も多く、「こんなことをしたい」といった前向きな応募動機も増えましたね。
他にどのようなアドバイスがありましたか?
大沢様今は売り手市場です。新卒の学生は大手志向が強く、私たちと同規模の企業は苦戦していると聞いていました。その中で内定承諾率を上げるのは簡単なことではありません。社内でもずっと分析はしていたのですが、糸口は見えないまま。先の見えない状況をコンサルタントに伝えたところ「求職者から選ばれるための面接をしていますか?」と問われたんです。確かにこれまでは、“見極める”という上からの目線で面接を行っていました。そのことに気づいてからは、“選んでもらおう”という意識のもと、求職者本来の姿を引き出せるようにアイスブレイクを入れるなど、面接の進め方・やり方を変えていきました。また、社内アンケートから見えた当社の魅力を伝えたり、応募者の希望や成長意欲に対して当社でできることは何かを丁寧に説明したり、面接の場でできる工夫を加えていきました。
面接への意識、手法を変えた成果はいかがでしたか?
大沢様求職者とお互いの理解を深められるようになったことで、コンサルティングを受ける前と比べて内定承諾率が上がったことを実感しています。また、入社後のミスマッチを防ぐという意味でも、面接時にリアルを伝えることはとても大事だと考えるようになりました。採用数はここ数年で一番多く、有意義なコンサルティングを受けることができたと思っています。