令和6年2月発行「令和4年度 人材確保コンサルティング好事例集」より抜粋
これまでは、少ないながらも採用ができていたが、1年ほど応募が全くない状況が続いており、危機感を感じていた。また、社内事情もあり、ぜひとも経験者を採用したいと考えていた。
当初はどのような採用状況でしたか?
野間様 当社は、車載関連の組み込み系ソフトウェア開発を行っています。いわゆるWebやAIなど流行りのものではないこともあり、組み込み系エンジニアの採用に苦労していまして。新規事業の立ち上げを予定していたことや、世代的にも若手とベテランの間の中間層がいないという事情もあり、技術力のある経験者を採用したいと考えていました。
関口様 これまでも採用活動はしていたのですが、当時1年ほど全く応募もない状況だったので危機感を覚えていました。ポジティブなこともネガティブなことも含めてフラットな第三者目線が欲しいよねと野間とも相談していたところ、リーフレットを目にしコンサルティングに申し込むことにしました。
野間様 これまでも、現場からは間口を広げて未経験者を募集しましょうと提案がありました。ですが、そもそも育てる時間も人材も割けないことが課題でしたし、結局離職に繋がってしまうことが見えていましたので、プロの目線からアドバイスをいただければありがたいなという思いでした。
具体的にはどのようなことに取り組みましたか?
関口様 まず、採用したい人材要件の定義や、現在の採用市場と私たちが出している求人内容にギャップがないか、高望みをしていないかなどを突き合わせていきました。実際にはワークシートを使って、エンジニアである青田を中心に社員にも協力してもらいながら、情報を洗い出していきました。
青田様 いくつかのテーマをいただいていたので、そのテーマごとにトピックを書き出していった感じです。欲しい人材の人物像を明確にするための材料といいますか、どういう仕事をしてもらいたいかなど、具体的に書き出していきました。
野間様 やっぱり現場の声が入ることで、どういう人材が欲しいのか、私たち自身の中でもより明確になりましたよね。また、今までの求人票を細かく見ていくと、仕事内容もふわっとしていたり、給料も下限と上限の幅がすごく広かったり、全体的にぼんやりしていたことに気がつきました。
求人票はどのように作成したのでしょう?
野間様 まずは洗い出した情報を、色分けして整理していきました。福利厚生面や仕事の面白さなど、テーマごとに細かく分けていったんですね。その中で見えてきたのは、当社には、上昇志向というよりも、技術そのものを面白いと思って集まっている人が多いことでした。だから、そこを求人票でも前に押し出していきましょうと。出向や派遣ではなく、社内で一括受託の開発に携われることも含めて、ずっとエンジニアでいられることを軸に求人票を作成しました。
青田様 具体的には組み込み系の技術はこんなところが楽しい、という部分を伝えました。例えば、電子基板にソフトを書き込むことで物が動くところが実際に見える、そこがやりがいですよとか。
他に何かアドバイスはありましたか?
関口様 今回、コンサルティングの期間中に、求人を出して面接も行ったので、リアルタイムにいろいろなことを教えていただけたのはとても勉強になりました。私は、これまで人事をやったことがなく手探り状態だったので、何でも吸収するぞという意識で取り組みました。
新しい求人を出してみて反応はいかがでしたか?
関口様 ハローワークや自社ホームページ、有料求人媒体も含めて5名の応募がありました。面接の際に、「仕事内容が具体的で想像がつきやすかったから応募しました」と言ってくれた方もいて、コンサルティングの効果を実感しました。採用したのは、バリバリの経験者で、組み込み系のエンジニアをされていた方です。技術をずっとやっていきたいから、という応募理由で、まさにイメージしていた方を採用できました。その後もう1名、採用した方がいます。その方も、技術を磨いていきたいという応募理由で、ソフトウェアの開発をずっと経験されてきた方です。
今回のコンサルティングを受けてみていかがでしたか?
関口様 もちろんコンサルティングの内容にもとても満足していますが、人事が初めての私にとっては、コンサルタントの仕事ぶりそのものがロールモデルとなって、学ぶことがたくさんありました。また、小さなスタートアップの会社なので、どうしても他社と比べてしまって自信が持てなかったこともありましたが、「求職者ニーズがあることは間違いないから」と背中を押してくれて、とても勇気づけられたのを覚えています。
青田様 コンサルティングの期間中に、これまで全く無かった応募が急に来るようになって、仕事現場もびっくりしていました。仲間が増えるという期待感がモチベーションになっていましたね。面接がある日などは、「きちんとしよう」みたいに職場の空気が変わったことを覚えています。
野間様 これまでずっと、漠然と採用活動をしていたことがよくわかりました。今回、コンサルティングを受けたことで、具体的にどう動けばいいか、そのやり方を実感としてつかめたことが大きかったと思います。これからは、自分たちだけでできるんじゃないかと前向きに考えられるようになりました。ありがとうございました。