令和4年2月発行「令和2年度 人材確保コンサルティング好事例集」より抜粋
継続的に行っているエンジニアの採用。事業特性上、マッチングが難しいことはわかっていたが、なかなか採用まで至らない。エンジニアの高齢化が進んでいることもあり、新しい人材の獲得が事業課題ともなっている。
どのような採用状況から申し込みに至ったのでしょうか
松本様当社では60歳を超えているエンジニアが多くいます。この先、退職者が増えることが見えている中で、事業継続のためにも新しい人材の確保がここ数年の課題となっておりました。経験者もしくは若い世代ということで、継続的に採用は行っているのですが、経験者では我々の事業分野に合う方がなかなか見つからない状況が続いていました。新卒採用も行っていましたが応募がなく、新卒で採用できたのは6年前の大卒者が最後です。
吉川様私は2年前にこの会社に入社しました。それまで長く人事畑でやってきて、当社でも人事を担当していますが、私が入社するまでは人事担当はいなかったんですね。忙しい中で社長と役員が人事を兼務していました。誠実で良いところがある会社だと思いましたが、一方でそれがなかなか求職者に届いていないのかなと感じました。
応募後の受け入れ体制はしっかりしています。例えば、面接に来た人には必ず工場を見てもらうようにしていますし、応募者に対するケアも丁寧にしています。しかし、そもそも応募がない。どうしたら良いのかなと考えているときに、たまたま人材確保相談窓口のチラシが目に入り、役員に相談して受けてみましょうということになりました。
(松本様:写真左、吉川様:写真右)
コンサルタントからはどんなアドバイスがありましたか?
吉川様そうおっしゃったわけではないのですが、ひとことで言えばアピールが下手だと(笑)。具体的には、求人票を大幅に見直しました。我々だけで作っていた時は、求人票の記載とリアルが食い違ってはいけないと思いすぎて、差しさわりのない内容になっていました。特に人によって受け取り方が変わってくるような主観的な情報は一切盛り込まなかったんですね。コンサルタントからは「誠実で良いところがたくさんある会社ですから、どんどんアピールしていきましょう」と言われました。
求人票はどのように改善されたのでしょうか?
吉川様会社のことや仕事内容などいろいろと見直しましたが、一番は求職者が気にする情報の中で我々がアピールできる項目を目立つ位置に表記し直したことです。今はスマホで求人を見る方も多いので、最初の数行が勝負だと。そこで「年間休日の多さ」や「土日休みの週休2日制」を最初に盛り込みました。この規模の会社ですと、そこはアピールポイントらしいんですね。テクニカルな部分も含めたコンサルタントからのアドバイスを参考に、新しく求人票を作りました。
結果はいかがでしたか?
吉川様ハローワークから中途で22歳の方を1名、大学指定のサイトから大学新卒者を1名採用しました。
他に専門学校から2名、来年の新卒者として内定を出しています。大卒の方は、就職活動シーズンのギリギリのタイミングで応募してきてくれました。その求人もコンサルティングを受けて新しく大学に出したものです。専門学校生は、当社の工場見学を通して興味を持ってもらえたことがきっかけです。もともとはインターン生として受け入れる予定でしたが、コロナ禍ということで中止になりまして。でもその後「せっかくだから」と工場見学をしてもらうことになったんですね。コンサルタントからも、そうした機会は積極的にいかした方が良いと言われていたので、スピーディに対応したことが良かったのかもしれません。
松本様中途採用の方は、前職は大工さんなんですよ。未経験でしたが、若いということと「モノづくりが好き」という共通項がありましたので、採用しました。私の経験則からも、好きであれば続くと思っています。
今回のコンサルティングを受けてみていかがでしたか?
松本様もともと、モノづくりに興味のある方であれば気に入ってもらえると思っていました。整然とした広い開発エリアの中にたくさんの機械があって、製品を作って、検査してとモノづくりの一連の流れを体験できるので、私自身も誇りに思える工場です。それを改めてコンサルタントから「せっかくこんなに良い工場なのですから」と言ってもらって「もっとアピールしましょうよ」って後押しされた。気持ちを盛り上げていただけたのは大きかったと思います。本当にできるのかなという気持ちもあった中で「よし、やってみるか」と前向きになれました。ただ、こんなに良い結果になるとは想定していませんでしたね。
今後は今回の結果を踏まえて、社内の人材も精査しながら、5年くらいの人事計画を立てて、しっかり採用活動を進めていければと思っています。