令和4年2月発行「令和2年度 人材確保コンサルティング好事例集」より抜粋
事業の拡大に合わせ人材募集をしていたが、常に急な募集だったため、採用基準もあいまいなまま採用することが優先となっていた。結果的に採用してもすぐに辞めてしまう状況が続いていた。
どのような採用状況から申し込みに至ったのでしょうか
並木様当社は、戦後から精肉店を営んでいます。祖父が小売店として創業し、父である現社長と弟の現部長が苦労して取引先を開拓して卸業を始め、今では卸業がメインです。現在は私が中心となって更なる販路開拓をしています。その中で新たな人材が必要となったため、採用活動を行ってきました。ただ、なかなか計画性を持てず「どういう人材が欲しいか」を考える間もなく採用をしていたんですね。結果的に採用しても長く続かない、いわゆるミスマッチがおきていました。
そんな中で、社長が「こんなものがあるぞ」と今回受けた採用コンサルティングのチラシを持ってきてくれました。社長も事業を拡大した頃は、人の採用に苦労してきたと思うんですね。だからこそ声をかけてくれたのだと思います。
どのようなことに取り組んだのでしょう
並木様そもそも事業を拡大していく上で、どういう組織を目指しているのか、採用した方にどう活躍して欲しいのかが漠然としていたんですね。これまで家族経営でやってきて、例えば社員もパートも役割を分けておらず「同じ仕事」をしていました。人事制度もキャリアプランもはっきりしない中で、応募者にも将来像を示せない。そうした点をコンサルタントに指摘されて、確かにそうだったなと気付かされました。ですので、採用活動と同時に「会社としての組織づくり」という課題にも向き合うことになりました。
採用活動はどのように進めたのでしょうか
並木様採用に関しては、コンサルタントからアドバイスを受けて外国人からの応募も想定した求人票を作成しました。ハローワークでは、留学生向けの求人サービスも行っているんですね。応募者の幅を広げましょうということでの取り組みだったのですが、当社周辺には外国人が通う語学学校も多いので、そこにも求人票を出してみました。結果的に、4名の外国の方を採用することができまして。ロシア・中国・インド・イタリアの方、皆さん大変優秀です。
他にも1名、ハローワークから同業種で働いていた方を採用することができました。この時にはだいぶ頭の中も整理できていて、どういう組織・会社にしたいのか、そのための採用基準もはっきりしていたので、面接できちんと自分の会社について話をすることができましたし、意思を持って質問もできていたと思います。採用後、本人から面接が決め手だったと言ってもらえたのは嬉しかったです。これまで面接で確認することといえば「どんなお仕事していましたか」だけ。今から思えば面接とは言えない内容でしたよね。
組織づくりや社内体制についてはどんな取り組みを?
並木様組織づくりに関しては、社員にリーダー職を設けるなど、それぞれの役割・責任の所在を明確にしました。定期的に行っている面談もコンサルティングをきっかけに、スタイルが変わりました。これまでは「何か困ったことはありますか?」と通り一遍の問いかけをするだけ。形骸化していた部分がありましたが、今は自分の気持ちを交えながら上下関係ではなく、フラットな関係性で会話するように心がけています。
また、経営理念や行動指針をまとめたリーフレットも作って全員に配布しました。これもコンサルタントからのアドバイスで作成しました。社長や私の頭の中にはあったのですが、きちんと明文化していなかったんですね。ウチにはこういうビジョンがあって、そのための行動指針はこれで、だからみなさんにはこれをやって欲しいという。それは、そのまま採用基準にもなっています。
今回、コンサルティングを受けてみていかがでしたか?
並木様今回のコンサルティングは、採用力向上ということで組織の話ってあまり主流ではなかったと思うんですよ。でも、ウチはそこが問題点で、結局は組織というものが意識できていなかったから人が採用できないし、面接にこられた方にも会社が何を目指しているのか的確に話せていませんでした。そこに気づかせてもらえたことは大きかったです。コンサルタントからも課題を少しずつ解決していって、それを採用につなげていきましょう、といろいろアドバイスをいただきました。
家族経営でやってきた会社が将来を考えた時、今後は同業者に限らず、社会でいろいろな経験を積んできた人に入ってもらって屋台骨を支えてもらう必要があると思っています。
きちんとした採用基準を持っていれば、今回のようにお金をかけなくても自分たちに合った採用ができると知ったことで、今後の展望も開けそうです。正直、採用活動ってなんだ?という漠然とした中でのスタートでしたから、大きく意識が変わったことは間違いないです。
(コンサルティングのきっかけをつくってくれた社長:写真左)