令和4年2月発行「令和2年度 人材確保コンサルティング好事例集」より抜粋
約20年ぶりの採用活動。20年前は有料求人媒体を使用していたが、お任せだったため、採用に関する知見がない状況。ポピュラーな職種ではないため、募集に対する反応も未知数。
どのような採用状況から申し込みに至ったのでしょうか
片桐様当社は、社員2人体制で事業を行っているのですが、2人とも今年と来年で定年を迎えます。嘱託社員として残ってはもらうのですが、事業を繋いでいくためには当社の未来を担う人材が必要なため、約20年ぶりの採用活動を行うことになりました。
2年前に東京都の助成金を活用して、イタリア製の最新レーザー加工機を導入しました。その際にお世話になった中小企業復興公社の担当者から、今回の採用コンサルティングの話をいただいたことがきっかけです。
コンサルティングはどのように進んでいきましたか?
皆川様まず、事前に我々の事業内容やどのような人材が欲しいのかなど、事細かにヒアリングしていただいたんですね。20年前に採用したのも短期のアルバイトさんで、有料の求人メディアに掲載したので、ほとんどお任せしていました。だから、時間をかけて真剣に聞いていただけたことは新鮮でしたし、熱意も伝わってこちらも安心して相談することができました。
その後、コンサルタントから「自社のアピールポイントは何ですか?」と問いかけられたのですが「ん?」と。普段、自分たちではあまり考えないことなので、スラスラとは出てこなかったんですね。ここは次回のコンサルティングまでの宿題ということで、改めて片桐社長と考えることになりました。
どんなアピールポイントが出てきましたか?
片桐様そうですね、弊社は実働7時間なので、一般的には実働8時間の会社が多い中、そこが魅力の一つになるのかなと。あと、会社の目の前に植物園があって、お昼休みに屋上に登ると気持ちいいんですね。アピールになるかどうかはわかりませんでしたが、そんなことも書き出しました。
皆川様私は、私自身がこの会社に就職した時、どこに魅力を感じたんだっけ?ということを思い出していました。当時、何をやっている会社なのかきちんとわからないまま入社した記憶があったので。「抜き型を作っています」と言われてもピンときていなかった。でも、仕事をしていく中で、私たちが作った抜型をもとに、コンビニやデパートで売られている商品のパッケージなど、よく見かけるものになっていることがわかってきたんですね。そうしたモノづくりの面白さにやりがいを見出していたことを思い出し、それを書き出しました。
その後、求人票の作成に取りかかったとのことですが
片桐様そうです。求人票の書き方も細かく教えていただきました。職種名は最初「レーザー加工機のオペレーター」としていたのですが、ただの単純作業に見えてしまうとのことで「レーザー加工機を使用した抜型製造業務」として“モノづくり”であることがイメージできるようにしました。作業内容も工程ごとに箇条書きにして、見やすさや読みやすさを意識するなど、コンサルタントに添削してもらいながら、工場長と2人で練りに練って作り上げた記憶があります。
皆川様日本一良い求人票ができたって喜んでました(笑)。
ハローワークに求人票を出して、結果はいかがでしたか?
片桐様求人票を出すタイミングもアドバイスをいただいて、少し時期をズラしました。結果、求人票を出したその週に5名から応募がありました。1名か2名くらいかなと想定していたので、びっくりです。10代~50代まで幅広く応募いただきました。面接も事前に準備していたので、非常に有意義だったと思います。会社の将来を担う大切な人材となるので、40分くらいかけてしっかり話を聞き、自社のアピールもしましたし、面接した方全員に工場見学もしていただきました。結果的には29歳の方を採用したのですが、彼は彼で面接に向けて準備してきてくれて、しっかりプレゼンしてくれたんですよ。
皆川様高校からずっとモノづくりの勉強をしてきて、レーザー加工に興味を持ってくれて、意気投合しちゃいましたね。彼を採用することができて、最高の結果になりました。
最高の結果だったとのことですが、何か苦労したことはありましたか?
片桐様そうですね、コンサルタントから求人票を自分で書いてみてくださいって言われた時ですかね(笑)。
皆川様最初は、全部やっていただけるという認識だったので「え?!自分で書かなきゃいけないの?」という。毎回「次回のコンサルティングまでに」と宿題が出たのですが、仕事以外でこんなに考えたことあったかな?というくらい考えました。でも改めて自分の会社について、自社の魅力について考えることができたのは、すごく良かったです。
片桐様来年にも1人定年を迎えますので、今回に倣って採用活動をして、世代交代がスムーズに進むようにしていきたいと思っています。
(写真:日本に5台しかないイタリア製のレーザー加工)